「好きなものを理解したい」という気持ち

今回は第15回ベトナム語スピーチコンテストで最優秀賞を受賞された
国士舘大学の清水輝さんにお話を伺いました。

ベトナム語スピーチコンテスト最優秀賞受賞
誠におめでとうございます

-ありがとうございます。

清水さんにはたくさんお伺いしたいことがあります。
まず清水さんは以前ベトナムにお住まいだったご経験があるのでしょうか

-ありません。神奈川県で生まれ育ちました。
ベトナムにまだ行ったことがありません。

そうなんですね。ベトナムを勉強しようと決めたきっかけを教えてください

自分が住んでいる地域はベトナム人の方が多く、小学校の時はベトナム出身同級生も
何名かいました。
中学3年生の頃にインスタントのフォーを食べて「こんなおいしいものがあるのか」と
ベトナムへの興味が強くなりました。

スピーチコンテストでご披露されていましたがベトナム語の歌がお好きなんですね

-はい。高校生の頃からずっとベトナムの歌謡曲を聞いていました。

ベトナムに古くから伝わる伝統音楽を聞いていたのでしょうか

-南北が分断されている時に南ベトナムで流行した「ボレロ」というジャンル
音楽です。自分が聞いていた音楽が「ボレロ」と呼ばれていることは大学に入り
フンディチョン先生に聞いて初めて知りました。
ボレロについてその歴史的な背景などを知りますます好きになりました。
音楽として楽しめるだけではなく、ベトナムの方達の考えを知ることができると感じます。

スピーチコンテストの歌の歌詞も清水さんが翻訳したのですか

-はい。自分で翻訳しました。歌詞の翻訳が一番大変でした。

スピーチコンテストに参加しようと思ったのはいつ頃ですか

-今年の6月にベトナム語のスピーチコンテストがあることを知り「自分の力を試したい」という気持ちから参加を決めました。ベトナム語で原稿を書き始めました。先生に添削していただきながら2カ月ほど時間をかけて推敲しました。8月後半から本格的に発表の準備を始めました。

発音についてのご指導もありましたか

– 発音についても最初に何度か直されましたが、主にメリハリや強弱をつけて話す練習を行いました。

最優秀賞に選ばれた時はどんな気分でしたか

-まさか自分が最優秀賞を取れるとは思いませんでした。
賞を取ることもあまり意識していなかったので驚きました。

質疑応答もとても落ち着いて答えていらっしゃいました

-事前に先生が作成して下さった想定質問で練習をしていましたので
とっさに頭の中で回答を作文できたのだと思います。
審査員の先生方は南部の方と北部の方がいらっしゃったと思うのですが
自分は南部の発音に親しんでいるのでできれば南部の先生にご質問して欲しいと
思っていましたが北部の先生からのご質問でした。

現在大学でベトナム語を選択されていらっしゃいます。
語学として改めてベトナム語を学んでみていかがですか

-最初は発音がとても難しかったです。母音の種類が多くその違いもなかなか聞き分けることができませんでした。

発音が本当に難しい言語ですね

-音に慣れることが一番大切だと思ったのでひたすらベトナム語のラジオを聞いていました
アメリカに住んでいるベトナム人の方向けのプログラムや
ベトナムで放送されているローカルニュースなど、とにかくたくさん聞くことを意識しました。
教材用の音源ではないのでスクリプトなども無かったのですが
聞こえたベトナム語を後に続いて言う練習もしました。
そのうちに何を言っているのか、段々とわかるようになってきました。

たくさん聞くというのはどれくらいたくさん聞いたら「わかるように」なるのでしょうか

-家にいるときはずっとラジオを流しっぱなしにしていました。
今は発音についてはあまり困ることがないのでベトナムの歌を聞いています。
苦しくならないように楽しんでやることを心掛けています。

楽しんでやっていらっしゃるんですね

-K-POPが好きで韓国語を勉強している方々は習熟が早いとよく言われます。
私の場合も同じだと思います。
ベトナムの文化や歌がとても好きなので「もっと理解したい」と思うから頑張れるのだと思います。

今後のベトナム語学習でさらに強化したい技能はありますか

-会話力です。言葉に詰まってしまうことがあるので
もっとスムーズに話せるようになりたいです。
リスニングについては地域によって発音が異なるので難しさを感じています。
南部でもメコンデルタ地方の方と話をしていると[v]の音が[ヤ行]で発音されるので
頭の中で変換するうちに混乱してしまいます。

スピーチコンテストの中でベトナムの食品の貿易にかかわるお仕事に興味があると
おっしゃっていました。語学が堪能なので在外公館でのお仕事などもご興味がありますか

-公務員よりも民間企業で働きたいと考えています。
地元には難民の方をはじめとして多くのベトナム人の方が住んでおり、
ベトナムの食材店やベトナム料理のお店も複数あります。
看板がベトナム語でメニューもベトナム語だけの食堂に入るとのんびりとした雰囲気で
気を使わずに過ごせるので落ち着きます。
日本のベトナムコミュニティをとても身近に感じているので
日本にいるベトナム人の方達と仕事をしたいです。

 

清水さん大変貴重なお話をありがとうございました。

おすすめのボレロのYou Tubeのリンクを教えて頂きましたので以下にご紹介致します。

Quang Lê – Sương Trắng Miền Quê Ngoại

Con Đường Xưa Em Đi – Chế Linh – Thanh Tuyền

Nhạc Chế Linh trước 1975 – Nhẫn Cỏ Cho Em (Có tiền chưa chắc được nghe)

ボレロについての解説は以下資料より引用させていただきました。

「南部解放」以後のベトナムにおける南ベトナム時代の歌謡の管理
P21 2020 大泉さやか

次回は大泉さやか先生にご紹介頂いた昭和女子大学2年生の新藤ナホカさんにお話を伺う予定です。将来は日本語教師を目指しているという新藤さん。

どんなお話が聞けるのか楽しみです。

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